[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」




ディオニッソスの物語A
ミダス王の黄金地獄から、王様の耳はロバの耳まで

   プッサン「ミダス王とバッカス」
  ディオニッソスが旅していた時の事。
 舞台は小アジア、プリュギア。
 時の王はミダス王。
 この王の屋敷にディオニッソスの養父であるシレノスが、仲間からはぐれて迷い込んでしまった。
 シレノスが大変な知能の持ち主である事を知っていたミダス王は、その知恵を自分に伝える事を求め、そしてシレノスを歓待した。
 9日間シレノスはそこで飲み食いをして、ミダス王はその間、ずいぶん痛快な話を聞いたようだった。
 10日目にディオニッソスの元にシレノスを送り届けると、幾日も世話になったことを神は大変喜んで、礼に何でも願いを叶えてやろう、と言った。
 ミダス王は、この手に触れる物が全て金になるように、と願った。
 ディオニッソスは内心、もっとマシなものを願えば良いのに、と思ったかもしれないが、ともかく王の願いを叶えた。
 ディオニッソスと別れたミダス王。
 願いが叶ったかどうか、試すべく庭の木の枝を折ってみた。
 すると小枝が黄金に変わる。
 落ちている石ころを拾い上げると、それも金に変わった。
 わくわくして手を洗うと、水が金に変わってころころと転がって落ちた。
 食事を言いつけて、パンに手をかけるとそれも金に変わり、じゃあ肉は……と思って肉をつまむとそれも金に変わる。
 これではいずれ飢え死にだ。
 このあたりでミダス王は自分の邪悪な能力に気がついたはずだ。
 決定的瞬間。
 駆け寄る幼い娘を抱き上げたとき、娘は黄金に変わった。息はしていない。
 王は再びディオニッソスに願う。
 この力を取り上げてくださいと。
 ディオニッソスがパクトロス川の上流で身を清めればこの力はなくなる、と言うのでそのとおりにすると、 ミダス王の力はなくなった。
 これ以降、パクトロス川には砂金が産出されるようになった。

   モロー「アポロと9人のムーサ」
 こんな事があってから、ミダス王はすっかり華美を嫌うようになった。
 宮殿を出て森でシレノスと語り合ったり、森の神パンを崇拝するようになった。
 このパンがアポロンと音楽の腕比べをすることになった。
 パンの方から言い出した競技らしい。
 審査員にミダス王、山の神トモロス、そしてゼウスの娘である9人のムーサ(芸術の女神たち) 。
 パンの吹く笛はとても素朴な牧歌的な音色。
 アポロンの奏でる竪琴は、華やかで洗練された調べ。
 この勝負、アポロンの勝ちだった。
 ミダス王はこれに意義を申し立てた。
 単に好みの問題である。

 ミダス王にアポロンの音楽は派手すぎたのである。
 パンの演奏の方がどうしても優れていると言うミダスの審判にアポロンは腹を立てて、
「おまえのような音楽の分からない者が人の耳を持つものではない!」
 と言って、ミダス王の耳をロバの耳に変えた。
 ロバの耳では流石に恥ずかしいので、ミダス王はプリュギア帽の中にこれを隠していた。
 国民は誰も王の耳がロバの耳だという事は知らなかったが、ある日、髪結いにはばれてしまう。
 ミダス王は、髪結いにロバの耳の事は口外しないように申し渡したが、髪結いはこんな面白い事!とでも思ったのか、話したくて話したくてたまらない。
 しかし王の怒りが恐ろしいので、髪結いは地面に穴を掘り底に向かって語り始めた。
「王様の耳はロバの耳ぃ〜」
 そしてその上に土をかけたところ、そこから葦が生えて、風がそよいで秘密を語った。

続く


 ムーサはゼウスと記憶の女神ムネモシュネの娘たちで「芸術の女神(ちなみに彼女たちが生まれたのはヘラと結婚する前)。 アポロンとは異母姉弟なので、この勝負卑怯じゃないのかい?
 身内が審判なんて