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ミケランジュロ『パエトンの墜落』
エチオピアに、子供が二人。
一人はエパポス。
ゼウスとイオの子だ。
もう一人がパエトン。
太陽神ヘリオスの子。
しかし、パエトンは父に会った事がなかった。
それでも「僕の父はヘリオスだ」と自慢する 。
「お母さんのいう事なら何でも信じるんだね。お父さんでもない人を お父さんだと思い込んでいるんだね」
とエパポスは馬鹿にする。
パエトンは家に帰って、母のクリメネにエパポスから侮辱された事を告げた。
母は、外に出てさんさんと照りつける太陽に手を差伸べ言う。
「 あの太陽こそがおまえの父親です。もし私が嘘を言っているならば、あのお日様こそが、ご自分で私に姿を見せる事を拒絶なさいますように!」 そして母は更に言う。
太陽神の館は近い。
その気なら、行って直接訪ねるが良い、と。
生まれ育ったエチオピアを後にして、インドを過ぎて(近いか?)日の出の郷に急いだ。
煌めく黄金とまばゆい象牙のヘリオスの神殿にようやくたどり着いたパエトン。
父ヘリオスは緋色の衣をまとい、エメラルドの玉座に座っている。
「どうして、ここにやってきたのか? 我が子、パエトンよ」
「この広い世界をあまねく照らす太陽神よ、あなたが私の父なら僕の心の迷いを取り払って欲しいのです」
ヘリオスは冠を外して、パエトンにもっと近くに寄るように命じて、そして我が子をやさしく抱擁した。
「おまえは当然、私の子だ。おまえの疑いを晴らすためだ、何なりと欲しいものを申すが良い」
ヘリオスはステュクスにかけて誓うと言った。
「では太陽の車を運転させて下さい」
これを聞いて、ヘリオスは困った。
太陽の車は大変運転が難しいのだ。
神々でさえ運転が困難な車を、人間のそれも子供のパエトンが運転できるはずがない。
しかしステュクスという冥界を流れる河に誓った言葉を覆す事はタブーであった。
パエトンが自分の願いを引っ込める事がなかったので、ヘリオスは渋々太陽神の馬車を出した。
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